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演題:水素化マグネシウムを利用した水素貯蔵と蓄電
講師:市川 貴之 准教授
(広島大学 大学院総合科学研究科)
新規な水素吸蔵合金を用いた水素ハンドリング技術を中心に,今後の水素エネルギーシステムの展望を含めてご講演いただいた。
マグネシウムは水素重量分率が比較的に大きく,優れた水素貯蔵媒体になりうるが,水素の吸収速度が遅く実用には使えないとされていた。
しかし,市川准教授のグループでは,マグネシウム粒子の表面にニッケル酸化物ナノ構造を導入することで,マグネシウム粒子の表面に存在する自然酸化膜による水素の吸収阻害を打破し,室温での高速水素吸収を実現した。
この粉体マグネシウムによる水素貯蔵は,現在水素キャリアとして有望視されているメチルシクロヘキサンと比較しても水素の重量密度で同程度,エネルギー的には水素吸蔵を常温で行える点で有利,水素発生の際も媒体が混入しない超高純度の水素が得られる点で有利と,新たな水素サイクルを構築できる可能性に富んでおり,今後の実用化が大いに期待される。
このような実用的な側面だけでなく,市川准教授のグループでは,マグネシウム表面をニッケル酸化物が活性化するメカニズムを科学的に解析したり,混合物水素吸蔵体中での溶解水素原子の高速拡散によるエントロピー制御を活用した新規水素吸蔵材料の開発可能性を発見するなど,当該分野をリードする研究を行っており.講演ではこれらの成果をわかりやすく解説いただいた。
杉山正和
2015年4月24日
第15回GS+I公開技術セミナー